宮崎グループ

傾斜面走査による三次元形状計測

 物体の3次元形状を高精度に計測する手法として, デフォーカスによる光強度の低下を利用した共焦点法がある. この手法により, 対象物体のある奥行きの像のみを計測することができ, 多くの奥行きの像を積み重ねることで3次元形状を計測することができる.

共焦点法の原理

 図1の(a), (c)のように物体表面の位置が焦点位置と一致していない場合は, 反射光がピンホール部分で広がるので, わずかな光しかピンホールを通り抜けない. しかし, (b)のように, 物体表面の位置と焦点位置が一致している場合, 反射光が照明光と同じ経路を通って, ピンホールを通り抜けることができる.このように, 共焦点光学系では, 焦点位置以外からの反射光を低減することができる.

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図1 物体表面位置と焦点位置との関係

ピンホールアレイを用いた走査

 共焦点光学系では, 共焦点の位置あるいは対象物体を三次元的に動かし, 空間を走査することで物体の表面の形状を計測することができる. しかし, この方法では三次元的に走査される共焦点の位置は一つだけなので, 三次元のそれぞれの軸方向にN点ずつ計測を行う場合計測する点の数はN^3となり, 一点を計測するのに必要な時間をtとすると, 三次元空間を走査するにはN^3t時間かかることになる. そこで, 計測時間を短縮するために, 多数のピンホールが行列状に並んだピンホールアレイを用いる.

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図2 ピンホールアレイを利用したときの焦点群

ピンホールアレイの傾斜

 ピンホールアレイを光軸に対して傾斜させると,サンプリング面も光軸に対して傾斜する. ミラースキャナは,このサンプリング面を横方向に移動させる. その様子を図4に示す. ミラーの角度を変化させていくことで,サンプリング面を横方向に移動させていくことができる. 反射光は同じ経路で戻ってくるので,検出側でのピンホールアレイの結像面の位置は変化しない. そこで,結像位置にイメージセンサを傾斜させて配置すると,サンプリング面に対応した,物体表面の形状情報(光強度分布の情報)を断面画像として取得することができる.

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図3 傾斜面型共焦点光学系

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図4 傾斜面型共焦点光学系

三次元形状情報の再現

 複数得られた断面画像から,三次元情報を取得する方法を図5に示す.

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図5 断面画像から物体表面の形状を復元

 ミラーを回転させ,サンプリング面を等間隔に移動させることで,三次元空間を面で切断していくように走査することができる. 物体表面の三次元形状情報取得は,得られた断面画像を対応する位置で重ね合わせることで行える. 断面画像の三次元空間に対応する位置は,ピンホールアレイの傾斜角と走査方向の移動距離から計算できる.

 図5のように,断面画像が取得されたとき,物体表面の位置を特定するには,断面画像中の点の光強度を奥行き方向に比較し,光強度が最大となる点を求めればよい. この処理によって得られた点を結べば,物体表面の形状を復元できる. 断面画像から三次元形状情報を得る処理を再構成処理と呼ぶ.

専用CMOSセンサ

 形状情報の復元の際に撮像素子として一般的なCCDイメージセンサを用いると,CCDの構造上の問題により高速に情報を出力することができない.そこで,専用のCMOSイメージセンサを設計し,出力の並列化と三次元情報の内部処理を行うことで,実時間での三次元計測を可能としている.CMOSセンサ内の回路は光を受けるフォトダイオード,光信号を記憶するメモリ,信号を比較するコンパレータを基本として構成され,光信号を比較していくことで奥行き情報を取得する.画素ごとのばらつきによって発生する固定パターンノイズを除去するための,相関2重サンプリング回路も備えている.