宮崎グループ

レーザースペックルを用いた振動計測と鼓膜への応用

 私たちは日常生活で耳から何気なく音を聞いているが、その構造は複雑である。音は一般に耳と呼ばれる耳介で集められ、外耳道を通り、鼓膜を振動させる。さらに、その鼓膜の振動が耳小骨以下の伝達系に伝わっていく。音が音として感じられるまでに様々な器官を伝達することになるのだが、もし、耳が聞こえなくなったときや、聞こえにくくなったときにはその原因を特定するために様々な検査が行われる。しかし、現在の検査方法では、被験者の主観に依存していたり、被験者に負担をかけるものが多い。そこで本研究ではレーザー光を用い、非接触に鼓膜の状態の検査が可能となることを目的とする。

 計測方法としては、レーザー光を対象物に照射し、その反射光を計測することにより発生するレーザースペックルという現象を用いる。この現象はレーザー光を凹凸のある面に当てると、その反射光は細かい明暗のあるたくさんの粒上の模様が見られるという現象である。

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図1 スペックル現象

 反射面が振動していると、レーザースペックルのコントラストが低下するという特徴をもつ。この手法を用いることで振幅1μm以下の振動も計測できる。しかし、レーザースペックルはランダム現象であるため、その解析には統計的手法が必要である。本研究ではこのスペックルパターンのコントラストの変化を用いる。

 今回使用した実験光学系を図2に示す。使用したレーザーダイオード(LD)は波長650nmを使用した。レーザーダイオードから出たレーザー光はレンズ1に入射し平行光にする。平行光はビームスプリッターから耳鏡を通り振動物体に照射する。振動物体からの反射光はビームスプリッターからレンズ2、アイリス絞り、レンズ3、レンズ4を通り、CCDカメラで撮影する。振動物体の位置からCCDカメラの間は結像系になっている。アイリス絞りはスペックル径を制御するための開口として使用する。

図2 実験光学系の概略図

 図3は実際に使用した光学系である。

図3 実験光学系

 CCDカメラから取得したBitmap形式の画像データをPC上で処理する。  処理方法は、取得した画像を正方形の窓に区切り、その窓内の空間コントラストを以下の式を用いて計算する。

 一つ目の窓の計算が終了すると、窓を1画素ずらし、再度計算を繰り返す。

図4 コントラストの計算

 以下に、測定結果を示す。

図5 測定結果

 図5は、鼓膜に与える音圧を変化させて計算した結果である。与える音圧が大きいほどコントラストの変化が見られる。